まやまやのひきこもり脱出記

ひきこもり脱出記

ひきこもり脱出記~部屋中をうろうろせずにはいられない

私の中だけで起こった衝撃的な変化


 家族がみんな出かけると、私は途端に1LDKの狭い仮住まいの中を、端から端まで、ひたすらぐるぐると何週も歩き回りました。決して楽しくてやっているのではないのですが、立ち止まると恐怖が襲って来るからです。その恐怖とは何かと言うと

今までふつうにできたことが、ふつうにできなくなったという恐怖です。
自分を意志で制御できなくなってしまった。
例え、どんなに意識しても努力しても。
焦れば焦るほど、どんどん何も手につかなくなっていき、さらに恐怖が強くなります。


 当時、私は宅浪1年目でした。5教科7科目、やらなければいけないことは山程あります。1日だって1分だって無駄にはできない。それなのに、勉強を始めても、30分すら続かない。いや、5分、10分すらも続けられない。以前は時間を忘れて5時間でも6時間でも続けられたのに。自分というものが信じられなく、情けなくなっていきます。私はなんて意志が弱いのだろう、と。
 
 自分にとっては圧倒されるくらい衝撃的な出来事ですが、所詮全て私の内部で起こっていることなので誰にも打ち明けることはできませんでした。だから、家族がいる時は、勉強机に座り勉強しているフリをしていました。本当はじっと座っていることすら苦痛ですが、必死でカムフラージュしていました。
 当時は家庭の事情で都会から1万キロほど地方に転居したばかりでしたし、同級生は皆進学して楽しい大学生活を送っており、相談する気になれませんでした。まだインターネットは全く普及しておらず、SNSで気軽に誰かに相談することもできませんでした。
 家の中を歩き回るという行動は一年近くずっと続きました。私にとってこの行動は、心の中で渦巻く泣きたいくらいの恐怖と、発狂しそうなのに発狂できない苦しさをやり過ごす唯一の手段でした。

もし今の私が当時の私に声をかけるなら


「一旦、全て投げ出して、休んでみたらいいんじゃない?」
と言います。

 真面目な人、几帳面な人、完璧主義な人ほど、意識的に休むべきです。
 当時は、あまりにも環境の変化が多すぎました。転居、高校卒業、浪人、家庭内の経済不安と不和、慣れない土地の風土と方言、などなど。最初の数ヶ月は緊張感と気分の高揚で、アドレナリン全開で変化に適応しましたが、表面的なものでした。心身ともに「もう無理、キャパオーバー!」と悲鳴を上げた結果「やるべきことに集中できない」というわかりやすい警告シグナルとなって自分を全力でストップさせようとしたのでしょう。
 人は持てる胆力の全てを使い切った時、壊れてしまわないために一旦休止して頭も体もリセットする必要があります。
 最低限の衣食住以外、とにかくやるべきことを何もしない。気力がもし少し残っているなら、本当に好きなこと・やりたいことだけをして自分を甘やかしてください。まずは1週間休止してみる。それでも足りなければ飽きるまで休止してみる。ぼぉっとすることは無駄な時間に見えますが、頭の中では高度な処理(記憶や思考の整理)がされる貴重な時間と言われています。
 あなたの心の状態はあなたにしかわかりませんし、自分の心を守れるのは自分だけです。矛盾した響きですが、心を鬼にしてとにかく休んでください。

今の私が考える当時の警告シグナルの意味 


別の角度から考えると、このやるべきことに集中できないと言う”警告シグナル”は

今のあなたの考え方や思考の枠組みのままだと前に進めません。この先乗り越えられません。

という、当時の自分の考え方の見直しを問う、本能的な直感でもありました。

 

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