まやまやのひきこもり脱出記

ひきこもり脱出記

ひきこもり脱出記〜昼夜逆転

 

朝は罪悪感の時間


 朝、皆んなが学校や職場へ出ていく時間は罪悪感を感じる時間だった。昨日も何も手につかずに一日終わってしまった自分への嫌悪感や落胆のまま朝を迎えた上に、全く無気力で何もする気が起きないからだ。慌ただしく出掛けていく人たちとは全く逆行した心理。家族がみんな出かけてしまうまでは心はどんよりとしているのに、同時にそわそわもしてしている。
 たくさんやるべきことがあるのに、きっと今日も何も手につかない。今日もまた、やらねばという強迫観念と、できないという敗北感の葛藤を自分の心の中で繰り返すのだ。考えるだけでうんざりしてしまう。家族がみんな出かけた安堵感も手伝って、弱い自分への嫌悪感と共に、強烈な眠気が誘ってくる。

夜の暗さに安堵する
 あたりが暗くなってくると、少しずつ気持ちが落ち着いてくる。(自分は何も労働していないけど)夜は人にとって休息の時間だから。頑張らなくていい時間は、朝のようには強迫観念を押し付けてこない。気分が良くなるせいか、夜になると今度は頭が冴えてしまって眠れない。昼間何も活動せず疲れていないのだから、眠れないのは当たり前なのだけれど、眠れないことに動揺し、眠ろうとする戦いが一晩中続く。結局、ほとんど眠れず朝を迎え、入眠困難による疲労とまた一日が始まってしまったという焦燥感により、最悪の気分の朝を迎える。昼夜逆転とはエンドレスなこのような葛藤の無限繰り返しの賜物だ。
 これでは社会の中で活動していくことはできない。生活時間軸そのものが社会から脱線している。よく夜中に、熟睡している家族を眺めて、何にも考えずによく眠れるということは、なんて羨ましいことだろうと毎晩思っていた。


無謀な事前調整


 浪人生だから、たとえ勉強していなくても、カムフラージュとして数ヶ月に一回、朝から夜までぶっ通しの合同模試を受けなければいけない。模試の1週間前くらいから、懸命に夜行性生活から朝型生活に戻そうとするが、上手くいくはずもない。暴飲暴食をしている大人が健康診断の1週間前だけ急に健康な生活に切り替えるようなものだ。模試当日は、良い点数を出さなければ、というプレッシャーからアドレナリンは全開なのに(いや全開だからむしろショートしてしまった?)、問題が解けないという焦りから、模試会場では強烈な眠気が襲ってくる。そんな自分がさらに嫌になる。毎回、模試はそんな感じで撃沈に終わっていた。


睡眠導入剤


 睡眠導入剤を2〜3種類処方してもらったことがあるが、自分に合った薬に出会うことができなかった。眠剤を使うことと、薬が効かないということに何故か罪悪感のような恥のようなものを感じていて、効き目についてほとんど主治医に相談しなかったのが良くなかった。
 睡眠障害には複数のタイプがあって、寝付けないのか、寝付けても途中で目が覚めたり早く目が覚めるのか、全く眠れないのか、パターンによって適した薬も変わってくる。眠剤を使う方は、自分の現在の睡眠状態と薬の効き目について、詳細に医師に説明して、一緒に合う薬を探すことをお勧めいたします。


朝散歩のすすめ


 メンタル疾患の人には特に、朝散歩が良いと言われている。朝、起きて1時間以内に太陽を浴びて歩くとセロトニンの分泌が促され、心身ともに目覚めると言われている。体内時計がリセットされ、朝はセロトニンが、夜はメラトニンが分泌され覚醒と睡眠のリズムが整うようになる。セロトニンは精神の安定(ネガティブ感情の抑制)にも関係している。
 うつ病がひどい時ほど、外に出て歩く、ましてや朝から散歩、という発想がない。特に、外に出る目的などなくて良い。とにかく起きてから1時間以内に外に出て日光を浴びて歩くということが肝心だ。最初は憂鬱すぎて動く気がしないかもしれない。もし難しい人は、ベランダに出て5分、日に当たるだけでも良い。少しずつ時間と動く量を増やしていけば良い。散歩といってもそんなに気合を入れて長時間行う必要はない。せいぜい15分で良い。とにかく、何も考えずに身体を動かしてみることが大事だ。
 朝の空気は綺麗かもしれない。空の色や木々の緑は鮮やかかもしれない。鳥がピュリと鳴きながら忙しいそうに飛んでいるかもしれない。家の中とは違う、何か新鮮なものが待っている。私はうつ病が本当にひどかった頃は何日も家から一歩も出なかったので、久しぶりに外に出た時は、外気の匂い、外気が頬に当たる感触にハッとしたものだ。外界は家の中のいつも変わらない淀んだ空気の空間とは違い、1秒ごとに何もかもが動いている。


今日一日、起きて眠れて無事に終われれば良い

 一日中、やるべきことが何もできない日があるかもしれない。でもそれでいいじゃないか。そんな日もある。うつは心の風邪のようなもの、と言われている。きつい時は休むしかない。風邪で寝込んでいる人に、起きて仕事しろと叱責する人はいない(サイコパスでない限り)。
 やるべきことができていないと自責の念に駆られ焦るほど、セロトニンのバランスが崩れ、ネガティブ感情が増大し、ますますやるべきことに手がつかなくなる。言わば、自分で自分を苦しめる無限ループだ。
 「まあ、いいじゃないか」と自分で自分を解放することも時には大事だ。他人が言ってくれないなら、尚更、自分で自分に言ってあげよう。

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