まやまやのひきこもり脱出記

ひきこもり脱出記

ひきこもり脱出記~苦しいけど死にたいわけではない

 

毎日死にたいと思う

身体が鉛のように重く、頭は同じことばかりぐるぐる考えてぼんやりしている。
目の前の勉強をやろうとしても、何も頭に入っていかない。
やるべきことが何もできなくて、自責の時間が延々と続く。
とにかく、苦しい。
深い海に潜らされて、全身でもがいても、少しも浮上しない。ただただ無力に遠い海面を諦めて眺めるような心持ちだ。
毎日常に考えてしまう。
死にたい。死んだらきっと楽になれる。

 

死ぬには覚悟がいる

ある日、私は家族がみんな出払った昼下がりに、台所で立ち尽くしていた。
右手に包丁を持って、左手首をじっと眺めて。
実行はしないまま、色々と考えを巡らせる。
自死する瞬間の心境を想像してみる。
手首の表層には硬い腱があるから、かなり強い力で切らないと動脈に達しない。だからためらい傷で終る人が多いんだな。
私には今、一思いに切り込む勇気があるだろうか。
もし、今実行したら、本当に終わりで、この私の意識もその瞬間にこの世から消えるんだ。
後悔を感じることもなく終るんだ。
もしも、今の辛い時期を乗り越えたら、楽しい未来が待っているかもしれないけど、それは見られないんだ。
もし生き続けたら会うかもしれない素敵な人に、出逢うことなく、ここで本当に全てが終るんだ。
今、確かに辛くて仕方ないけど、他に選択肢はないのだろうか。
全てを終わりにしても良いと思えるほど、果たして私は全ての方法を試したのだろうか。
私の生き方は今のこの一通りしかないのだろうか。
色々と考えたら、まだ実行するには早いように思えた。
もう少し生きてみる。

 

死ぬ自由

いつか、もう本当に耐え難いほど辛くなったら、死んじゃえばいい。
死ぬ方法を散々考えた挙げ句、ふとそう考えたら、少しだけ気持ちが楽になった。
倫理的な問題を度外視すれば、人には死ぬ自由はある。
死んでもいいという考えは、毎日苦しんでいる人にとって、ある意味、「何もかも放り出していい」という慰めでもある。

 

「死にたい」の根底の心理

私の場合、「死にたい」というのは、本当に自死したいというよりは、苦しみを逃れたい、というのが本音でした。
もし、今の苦しみを抜け出せたら、もし、誰か親身に寄り添って支えたり問題を解決してくれる人が現れたら…それでも私は死を選ぶだろうか。
いや、間違いなく生きることを選ぶ、と思いました。
「死にたい」という思いは私の心が、全力で挙げているSOS信号に他なりません。
今の生き方を続けるのは、もう無理、と。

 

死なないでほしい

「死なないでほしい」
精神科で診察中に、先生から言われて、ドキっとしたことがあります。
家族からも、誰からも「生きていてほしい」なんて言われたことがなかったからです。
私は、強迫性障害の母から物心つく前から
「結婚してすぐにあなた達が産まれたから、家計が苦しい」
「あなたたちがいるから、別れたくても離婚できない」
と言われ続けて育ったので、自分なんていないほうがいいのだろうとずっと思っていました。
そういえば、友人とも、他の大人とも、私が存在する(というあまりにも根元的な)ことについて話したことなんてありませんでした。
そうか、今日会ったばかりの先生ですらも、私が死んだら悲しいんだ。死ぬということは、そんなに他者に影響することなんだ…


「死んでもいいけど、死んじゃだめ」

チャット相談窓口 "あなたの居場所"を運営する大空幸星さんの言葉です。
心を病む人は、自分の存在価値を信じられないほど低く見積りがちです。
生きる価値がないと思っているのは自分だけです。
死ぬしか方法がない、と考えているのは自分だけです。
世の中には、色んなリソース・知恵・ネットワークを持つ人が沢山います。
自分一人では解決できないことでも、誰かの支援で解決策が見つかるかもしれません。
そもそも、心身共に疲れきって、まともに思考ができない時に、死ぬという重大な決断をしてはいけないのです。

 

勇気を出し、そして信じてみる

毎日、死にたいと考えてしまうなら、迷わずすぐに精神科を受診してください。
新患はなかなか初回予約がとれないので、1日も早く病院に問い合わせてください。
今日明日にでも死にたいという衝動がおさえられない場合は、病院か保健所、無理なら何らかの相談窓口に、すぐにそのまま伝えてください。
精神科で出される薬が効き始めるのは早くて2週間後で、基本的には月単位の治療になると考えた方が良いです。向精神薬は一般薬のような即効性はありません。
また、薬との相性や副作用があるので、その都度変えたり調整しながら、服薬を継続することになります。
最初は効果が感じられず、気持ちが焦るかもしれませんが、まずは主治医を信じて止めずに服薬してください。薬のことで不安があれば、薬剤師に相談するのも良いです。
精神科医によると、回復しようと焦る人ほど治りが遅い傾向があるようです。治療のことはプロに任せ、先生に言われたことはしっかり守る。それだけで十分です。
生活上の不安がある場合は、必ず誰かに相談してください。身内が難しければ公的機関にも頼ってください。
死にたいくらいに思いつめている人は、もう十分一人で抱えて頑張ってきました。頼れる他人は、全て頼りましょう。
とにかくしっかり脳と身体を休め、自分の命を守ることに専心してください。

 

 

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